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【乾燥の基礎4】「乾燥」の常識を変える!オーダーメイド乾燥機で実現する理想の生産プロセス

はじめに

これまで3回にわたり、「乾燥の基礎」として

  1.  乾燥とは何か 
  2.  乾燥に必要な加熱方法 
  3.  乾燥機選定のポイント 

についてご紹介してきました。

そこで今回は、大川原製作所の乾燥機を題材に「乾燥機の設計ってどんなことをしているのか」についてご説明します。
われわれ大川原製作所は、食品・化学・医薬品・環境の分野のお客さまへ、
高品質かつ効率的なものづくりを支える乾燥機を製造販売しています。
実は、当社が製造する装置のほとんどはオーダーメイドで、ここが当社の強みでもあります。
なぜ既製品ではなく、オーダーメイド乾燥機にこだわるのか。
お客様の課題を解決する、大川原製作所のオーダーメイド哲学について、詳しくご紹介します。

「理想の乾燥品」を生み出すオーカワラのエンジニアリングプロセス

お客様の要望に柔軟かつ迅速に対応できる

長期運用を見据えたサポート体制

現場視点の装置づくり

技術・ノウハウの蓄積と活用

実際の装置検討・導入の流れと、特に重要な3つのプロセス

1. お客様へのヒアリング

2. 試験

3. 技術検討・仕様決定

成功事例に学ぶ!オーダーメイド乾燥機が解決した具体的な課題

事例①:風味・形状を損なわない乾燥機とは

事例②:デリケートな樹脂粉体を効率よく乾燥・回収

事例③:細菌対策も万全!洗浄性向上への徹底した工夫

お客様からの声

クロレラ工業株式会社様

株式会社同仁化学研究所様

まとめ

「理想の乾燥品」を生み出すオーカワラのエンジニアリングプロセス


大川原製作所では、乾燥機の開発・営業・設計・製造・据付・試運転・メンテナンスまで、すべての工程を自社で一貫して行っています
その理由は、お客様の課題を解決し、ご満足いただける製品やサービスをご提供するために必要不可欠なプロセスだと考えているためです。

この体制こそが、現場で求められる「本当に使いやすい乾燥機」を実現するための強みです。
その特長をいくつかご紹介しましょう。

 

お客様の要望に柔軟かつ迅速に対応できる


各工程が自社内で完結するため、顧客ニーズに基づく仕様変更やカスタマイズがスムーズに行えます。
また、社内における部門間の連携が取りやすく、意思決定や対応スピードが速いという特長もあります。

 

長期運用を見据えたサポート体制

開発・設計段階からメンテナンスまで見据えているため、メンテナンス性や耐久性に配慮した設計が可能です。
据付後も、製造元である当社が直接メンテナンスを担当いたします。
そのため、トラブル時の対応が早く、お客様の高い安心感にもつながっています。

 

現場視点の装置づくり

製造・据付・試運転まで自社スタッフが関わるため、現場での作業性や安全性を考慮した装置を実現可能です。

 

技術・ノウハウの蓄積と活用

全工程の情報が社内に蓄積されるため、過去の事例やフィードバックを次の開発・改良に活かせます。
これは、お客様ごとに最適化されたソリューションを提供できる、当社の技術力・提案力の強化にもつながっています。

 

実際の装置検討・導入の流れと、特に重要な3つのプロセス

当社の一貫体制における強みをご理解いただけたところで、実際の流れについてご説明します。

すべては、お客様のニーズを聞き出すヒアリングから始まります。

その後、お客様の要望に応じた試験の結果から、お客様の生産計画に合わせた実機へのスケールアップ計算を行い、
お客様の工場に納めるためのレイアウト検討・制御方法の基本設計を行い仕様を決定します。

そして、その基本設計から詳細設計を行い、装置の製造へと入ります。
製造が完了したら、当社の工場で仮組立を行い、製品検査へと進みます。
その後、お客様の工場に据付し、設計通りに稼働することの確認を行ったのち、お客様へ引き渡します。

引き渡した後も、メンテナンス業務として、点検作業や修理対応を行っています。

そして、上記の中でも特に重要な3つのプロセスがあります。
それは、

  1.  お客様へのヒアリング 
  2.  試験 
  3.  技術検討・仕様決定  


です。
ここからは、これら一つひとつについて実際にどのようなことを行っているのか、順番にご説明します。

 

1. お客様へのヒアリング


別の記事でご紹介した乾燥機選定のポイントを中心に、処理物の物性、処理量、装置導入の目的などのご要望をお客様から伺っていきます。

【乾燥の基礎3】材料に合った乾燥機選びとは?プロが教える3つのポイントと事例紹介 (クリックで別記事へ)

お客様のニーズは様々です。

  1.  「生産量を増やすために、大型機を検討している」 
  2.  「さまざまな種類の食品を、1台で処理したい」 
  3.  「付着やダマの発生しやすい材料を乾燥したい」  
  4.  「自動運転にしたい」   

そこで、ヒアリングの時間を十分に設け、ご要望にマッチする機種をご提案していきます。

 

2. 試験


次に、お客様が処理したい材料を当社テストセンターへ持ち込み、実際に試験を行います。

いくつもの条件で運転を繰り返し行い、狙い通りの製品が得られるかどうか、お客様立会いのもと運転確認を行っていきます。

こちらのプロセスで得られるデータは、その後の装置設計にも活用されます。
そのため、大変重要なデータ採取の場でもあるのです。

具体的には、乾燥速度と品質のバランスから詳細な運転条件(温度、風速、時間、処理量、回転数など)を検討し、
設計に落とし込んでいきます。

 

3. 技術検討・仕様決定


最後に、試験データを元にお客様の生産計画に合わせて実機へのスケールアップ計算を行い、装置のサイズを決定します。
サイズが決まりましたら、ファンや熱交換器などの選定や、制御方法の基本設計なども行い、装置全体の仕様を決定します。
その後は、実際に現場で使用されるお客様の「使いやすさ」を最優先に考え、装置のカスタマイズを行います。
たとえば、現場での運用状況や作業動線を踏まえてレイアウトを最適化するなど、
お客様と綿密に協議を重ねながら装置の具体化を進めていきます。

このプロセスを踏むことが、当社装置が「オーダーメイド」と言われる理由です。

 

成功事例に学ぶ!オーダーメイド乾燥機が解決した具体的な課題

それではここから、具体的にどのようなプロセスでヒアリングから乾燥機の選定を行っているかをご紹介します。
 

事例①:風味・形状を損なわない乾燥機とは

まずは、風味や形状を損なわずに食品を乾燥したいというお客様の事例です。

 

お客様のご要望

色や形状が特徴的な食品を取り扱っておられ、その食品の形状を乾燥前後で維持したいというお客様からのご要望がありました。

 

大川原製作所の検討事項

そこで我々は、乾燥機のタイプ、運転条件、生産量を踏まえた装置サイズなどを検討し、導入する乾燥機を選定していきました。

参考までに、乾燥機のタイプは大きく下記の4種類に分けられます。

  1.  通気乾燥(バンド乾燥) 
  2.  流動層 
  3.  容器回転  
  4.  撹拌  

最終的に「形状保持」の観点から、このケースでは通気乾燥タイプの乾燥機(バンド乾燥機)を選定いたしました。

バンド乾燥機は、材料をバンド上に広げて並べ、乾燥機内を搬送する間に熱風の力で乾燥させる方法です。
材料を載せるバンドは、メッシュベルトやパンチングプレートなどといった、熱風を上下に通すことのできる通気性の高いものが選ばれます。

この方法は、材料そのものを物理的に動かすことができない場合や、動かすことが好ましくない粒状物・固形物の乾燥に適しています。

バンド乾燥機は、複数の乾燥室を通過させる仕様が一般的です。
その場合、乾燥室ごとに熱風の温度や、風を通す方向(上下)を変更することができます。

こちらの事例では、食品の表と裏を均一に乾燥するため、乾燥室ごとに風向きの上下を分けました。
また、次工程における作業内容を考慮し、最後の乾燥室では冷風を通す冷却工程を追加し、材料温度を下げてから排出する工夫をしています。

 

事例②:デリケートな樹脂粉体を効率よく乾燥・回収


続いては、樹脂粉体の乾燥装置を検討していたお客様の事例です。

 

お客様のご要望

新素材(樹脂粉体)を開発するにあたり、乾燥装置も併せて新設したいというのがお客様からのご要望でした。
乾燥時間の短縮や、自動運転による省人化もご要望に含まれておりました。

 

大川原製作所の検討事項

そこで我々は、材料特性、省人化、設置スペースの3つのポイントから装置を選定していきました。

まずは材料特性についてです。
乾燥させたい材料は付着性が低く、有機溶剤の除去を目的としていました。

さらに、一定以上の温度になると変性を引き起こすため、低温下で乾燥させたいというお客様からのご要望もありました。

そこで、真空乾燥により有機溶剤を回収する方法を検討しました。

続いて省人化です。
乾燥時間を短縮しつつ、洗浄性を重視したいというのがお客様からいただいた条件でした。

そこで、熱容量係数が大きく、かつ洗浄しやすい構造の乾燥機の中から選ぶ方針としました。

最後に、設置スペースです。
工場内の平面スペースが少ないことから、縦型に設置できる装置の中から絞り込むこととしました。

これら3つのポイントを考慮した結果、伝導伝熱タイプで撹拌機を備えた、円錐型リボン混合/乾燥機「リボコーン」を選定いたしました。

 

事例③:細菌対策も万全!洗浄性向上への徹底した工夫


最後に、洗浄性の向上に特化してカスタマイズを行った事例をご紹介します。

 

お客様のご要望

食品工場様だけに限らず、多くの企業様から洗浄に関するご要望を多くいただきます。

  1.  「乾燥機を簡単に洗浄したい」 
  2.  「装置内の細菌の発生を防ぎたい」 

などです。

 

大川原製作所の検討事項

このような場合、洗浄性向上はもちろんのこと、
それに付随するさまざまなご要望を丁寧にヒアリングし、一つひとつ設計へと落とし込んでいきます。

  •  粉だまり防止のため、点検扉上部に面取り加工を施す 
  •  装置内部やダクトのコーナーをR加工を施す 
  •  装置内に傾斜を設け、自重で排水口に流れる設計とする  
  •  洗浄時にのみ現れるプッシュアウトノズルを採用(生産稼働時は、装置内部に突起物を存在させないため)  


上記は一例となりますが、このような形でお客様の「使いやすさ」を考慮した設計を丁寧に行っていきます。

 

お客様からの声

ここで、当社の乾燥機を実際に導入されたお客様からの声をご紹介します。

 

クロレラ工業株式会社様

・生産ラインに組み込まれる各種機械について理解があること
・さまざまなメーカーの設備を取りまとめて全体の設計ができること

その条件に合致したのが、大川原製作所さんでした。
食品生産設備の実績もあり、生産ラインに対する理解も深いだろうということで今回お任せしました。

今回、食品工場特有の状況を踏まえた上での設備設計を、特に大切にしました。
それでも実稼働時には改善点が発生しましたが、臨機応変に対応くださり良かったです。

今でも、設備をつくる立場から見て、修正するべきではない点や新たな提案などをいただいており、良い関係で連携ができていると感じています。

▼クロレラ工業株式会社様のインタビューはコチラ↓
お客様インタビュー:多様な人材が活躍できる安心・安全なものづくり現場を目指して【クロレラ工業株式会社】

 

株式会社同仁化学研究所様

今回、新生産ラインの取りまとめで手いっぱいになったところで、大川原製作所さんにお願いしました。
自社装置に限らず、生産プロセスに関するさまざまな知識をお持ちなので、スムーズに工事を取りまとめていただき本当に助かりました。

エバポールは想定以上の結果が得られ、満足度が高いです。
ボタン一個で生産も洗浄も全自動でできるため、お客様へ自信をもってお見せできますね。

立ち上げの際に不具合もありましたが、すぐに技術者が来てくださり、しっかり対応いただけたので満足しています


▼株式会社同仁化学研究所様のインタビューはコチラ↓
お客様インタビュー:時代の変化に合わせ、さまざまな製品に対応できる生産体制を構築する【株式会社同仁化学研究所】

 

まとめ

この記事では、大川原製作所のオーダーメイド哲学についてご説明しました。

既製品ではなく、オーダーメイド乾燥機にこだわる当社の想いについて、ご理解いただけたのではないでしょうか。

われわれ大川原製作所は、お客様の要望に応えることで、食品・化学・医薬品などさまざまなメーカー様の生産を支え続けてきました。

理想の「乾燥」を、乾燥のエキスパートである私たちと一緒に作りませんか?
オーダーメイドに強みを持つ大川原製作所が、製造現場のお悩みを解決いたします。

いつでもお気軽にご相談ください。

 


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